


D1グランプリはドリフト走行のカッコよさで勝敗を決める競技だ。ドリフトとは、後輪もしくは4輪を滑らせながら走る走法のこと。そのとき、ドライバーは通常の運転の限界を超えた領域で、曲がっていく方向とは逆にハンドルを切り、非常に高度なバランスをとってクルマをコントロールすることになる。
そしてドリフトの最大の魅力は、その超非日常的なクルマの動きだ。ドリフト競技においては、ドライバーはコーナーのはるか手前からクルマを滑らせてドリフトを開始し、エンジン音をとどろかせてコーナーを通過し、猛烈な白煙を上げて加速する。ダイナミックかつアクロバティックなそのアクションは、見ている者の感性にダイレクトに訴えるカッコよさがある。
またドリフトは、ひとつのコーナーにおける運転の操作が非常に多い。それもあって、レースやラリーなどの競技と比べると、勝敗はマシンの性能より、ドライバーの腕に依存するところがはるかに大きい。そのドリフトの腕を競う競技、それがD1グランプリだ。

約30名の参加選手が、追走トーナメントに進出する権利を求めて争うのが単走だ。単走では、1台ずつ単独走行を行う。本番走行は通常2本。そのうち得点の高かったほうの走行が順位づけに採用される。ここで評価されるのは、どれだけ正確な技術を持っているかだ。事前に発表された走行ラインなどの審査ポイントに加え、「角度」、「スピード」、「エンジンの音」、「動きのスムーズさ」などの要素が総合的に審査される。スピンやアンダーステアがあったような場合は大幅な減点だ。
各審査員がつけた採点の平均点の順に、上位から16名が追走トーナメントに進出できる。なお、この単走の順位をもとにトーナメントの組み合わせも決定する。1位vs16位、2位vs15位、3位vs14位……という具合に、追走トーナメントのラダーが組まれることになる。

ここからがD1グランプリの真骨頂。もはや単独走行では甲乙つけがたいほど完璧なドリフトを連発する上位選手が、一対一で戦うことによって勝敗を決する、追走方式のトーナメントだ。
対戦する2台が先行と後追いを決めて同時にスタートする。先行は自分のベストの走りをし、後追いは先行の車両に合わせてドリフトをする。後追いが先行との距離を詰めて相手のインに入れれば勝ち。引き離されたら負けだ。スピンやアンダーステアはもちろん、ドリフトの角度が相手よりも浅かったり、ドリフトの飛距離が相手よりも短かったり、挙動が乱れると減点なので、先行の選手はスピードが犠牲になることを承知のうえで角度を大きくつけることもある。したがって、必ずしも速いクルマ、パワーのあるクルマが勝てるとは限らない。なお、走行ラインは単走ほどシビアに判定に影響するわけではないが、後追いの車両にスペースを与えないように、先行の車両がインベタのラインをとることは減点の対象となる。
走行は、先行/後追いを入れ替えて計2本行われる。走行ごとに各審査員が「5:5」、「7:3」など、持ち点の10点を両選手に割り振る形で判定を下し、それを2本分合計して勝敗が下される。ただし、2本の走行で同点だった場合、あるいは差がわずかだった場合は、サドンデスと呼ばれる延長戦に突入する。繰り返し延長戦を行っても決着がつかない場合は、審査員の判断で、それまでの走行内容を総合して判定が下される。サドンデスの上限は3回まで。
このような方法で勝ち抜き戦を行い、優勝者を決定するのが追走トーナメントだ。

D1グランプリにはD1ライセンスがないと参加できない。D1ライセンスを取得するには、各地のD1選考会で優秀な成績をおさめる、D1SLシリーズにて2ポイント以上を獲得する、などの方法がある。また、参加車輌もD1グランプリの車両規定にのっとった安全対策などが施されていないとけない。
※シード以外の全選手 → 20名
予選は選手が単走2本を行って競われる。得点が高い選手から順に20名が単走1回戦に進出できる。なおシード選手は予選が免除される。

※30名 → 16名
シード選手と前日の予選を通過した計30名の選手が、単走を2本ずつ行って競われる。得点が高い選手から順に、16名だけが追走トーナメントに進出できる。

※16名 → 1名
単走1回戦を勝ち上がった16名が一対一の追走方式で勝ち抜き戦を行う。最後に勝ち残った選手が、そのラウンドの勝者だ!
シリーズ戦の各ラウンドは、まず予選からスタートする。ただし、その時点でのポイントランキング1位から10位まで(第1戦では前年度のポイントランキング)の選手は、シードとなって予選を免除される。また2008年からは、一定の条件を満たしている選手が現行車種で参戦している場合も予選が免除されることになった。予選は単走と同様の単独走行。審査方法も予選と同様だ。予選参加者は50名以上になることも多いが、そのなかで得点の高いほうから約20名の選手が本戦日の単走に進出することができる。
各ラウンドでは、16位まで順位がつけられ、順位に応じたポイントが与えられる。1位と2位は直接の勝負によって順位が決まるが、3位と4位、5〜8位、9位〜16位は、審査員の評価によって順位が決定される。また、単走で審査員長が100点を出した選手には、1ポイントが加算される。2009年度D1グランプリシリーズは、年間全8戦が開催され、総獲得ポイントによってチャンピオンシップが争われる。もし同ポイントだった場合は、優勝回数が多いほう、それも同じ場合は2位の回数が多いほう……というように上位入賞回数が多い選手がチャンピオンになる。