この大会の模様は
「VIDEO OPTION VOLUME No.177」
に収録予定です。


■10月25、26日 富士スピードウェイ
■コースコンディション:ドライ
■観衆:16459人

PHOTO:上尾雅英/鈴木紳平
REPORT:斉藤精一郎

 D1GP最終戦は昨年と同様に富士スピードウェイで開催された。本戦日の朝に雨が降ったが、それ以外に降雨はなく、競技本番はすべてドライ路面で行われた。最終戦を前にして、チャンピオン獲得の可能性を残していたのは4人。ランキング1位の斎藤太吾、2位の今村陽一、3位の野村謙、4位の手塚強だ。うち野村と手塚はややポイントが離れているため、タイトル争いはおそらく斎藤と今村の一騎打ちになる展開が予想されるなかで大会が始まった。


 予選にはシード選手をのぞく43名が出走した。審査コーナーはこれまでどおり、ヘアピンコーナーを逆走で使い、300Rを飛び出てくるところから、ヘアピンを過ぎてアウトに立ち上がったところまでが審査区間だ。
  審査において要求されるラインは下図のとおり。このラインをトレースしたうえで、姿勢のふらつきなどがなく、見た目に十分な迫力、スピードがあり、アクセル音が途切れる時間が少ないことなどが高得点の条件となる。300Rの手前の振り出しポイントは、審査席からは見にくいため、300Rイン側に副審が置かれ、振り出し位置やドリフトの戻りなどを判定する。また副審からは、ファンタスティック旗(加点)の条件として、300Rへの進入で一気に鋭く大きな角度をつけ、アクセルを踏みきって飛び込むことが発表された。
  300Rからヘアピンまでは、大きく蛇行するのではなく、直線的に振り返して審査席前の縁石に寄せることが要求される。しかし、このラインをトレースするのは簡単ではなく、審査席前よりも手前でアウト側の縁石に寄せてしまい、大まわりなラインとなって減点されるドライバーが多かった。
  そのなかで100点を獲得したのは、ものすごい踏みっぷりとタイヤスモークを見せつつラインも外さなかった黒井、見た目にも高い車速をアピールした古口、スムーズなマシンコントロールと大きな角度を見せた佐久間の3人。ややラインのズレはあったものの、勢いのある走りを見せた松川や岡村がそれにつづいた。いっぽうで上位選手では、2本の走行を決められないまま3本目がリタイヤとなってしまった廣田、ラインやリズムを乱してしまった中村(直)らが予選敗退となった。

富士単走主要審査ポイント
※スピードガンの計測値は
同点の場合の順位づけのみに使用
予選順位表
順位
NO.
ドライバー
得点
車速(km/h)
順位
NO.
ドライバー
得点
車速(km/h)
1
11
黒井敦史
100.00
171
22
56
小山 哲
98.80
160
2
12
古口美範
100.00
160
23
47
林渡
98.80
160
3
17
佐久間達也
100.00
149
24
27
一柳和人
98.80
154
4
30
松川和也
99.90
150
25
45
地主亮治
98.80
149
5
16
岡村和義
99.80
166
26
19
中村直樹
98.80
148
6
37
藤尾 勉
99.80
158
27
41
小畑仁宏
98.80
147
7
25
猪瀬 徹
99.80
157
28
43
出浦史郎
98.70
153
8
22
平岡英郎
99.80
155
29
53
中田哲郎
98.70
141
9
23
野沢巧
99.80
146
30
51
児玉泰宗
98.50
156
10
38
長澤淳吉
99.70
158
31
48
平野浩量
98.50
149
11
24
時田雅義
99.70
156
32
42
春山 隆
98.00
158
12
28
横井昌志
99.70
150
33
44
匂坂晋治
98.00
153
13
20
水畑 力
99.50
163
34
34
小師賢作
98.00
149
14
18
内海彰乃
99.50
158
35
52
伊藤昭紀
98.00
133
15
29
福田浩司
99.50
157
36
49
加藤貴也
97.00
162
16
13
日比野哲也
99.50
151
37
35
田所義文
97.00
153
17
21
荻野目久
99.50
147
38
33
末永直登
97.00
147
18
46
松田豊久
99.20
148
39
39
村山悌啓
95.00
158
19
15
高橋邦明
99.00
168
40
36
高山健司
85.00
160
20
40
藤中学
99.00
150
41
31
前田 謙
85.00
157
▲以上予選通過▲
42
14
廣田友和
80.00
168
21
26
ドリフト侍
98.80
161
43
50
高橋雄一郎
0.00
134
▲以上予選リザーブ通過▲
-
32
松井有紀夫
リタイア
-
54
中村孝之
リタイア
-
55
村田郁雄
リタイア
-
57
大嶋友浩
リタイア


 単走1回戦に進出できるのはシード選手と予選を通過した選手だ。しかしシードの吉岡が前日の練習走行でエンジンブローしていたためリタイヤ。それによって予選リザーブ通過だったドリフト侍が繰り上げ通過となり、計30名が出走した。朝の練習走行開始ごろから雨が降り、練習走行は終始ウエット路面で行われたが、単走1回戦までには雨が上がって路面も乾き、競技はドライで行われた。そのため審査も予選と同じ基準で行われた。
  チャンピオンのプレッシャーがかかると思われたゼッケン1番の斎藤だが、1本目の走行から伸び伸びとしたドリフトを披露。アウトの寄せはわずかに足りなかったが、ファンタスティック旗があがったために100点をとった。つづいてタイトル争いをしている野村、今村、手塚らも100点を獲得。計7人に100点が出た。いっぽう1本目でアウトにはみ出した田中は、そのあとの走行ではラインがずれてしまって得点が伸びず敗退。前日トップ通過した黒井はミッショントラブルを抱えていて本来の走りができないまま3本目はリタイヤ。しかし2本目の得点でかろうじての通過になった。この日でソアラを引退させる上野は、プロペラシャフトのブッシュにトラブルを抱えたまま出走。それでもなんとかベスト16進出を果たした。
  斎藤は1本目に100点をとったものの2本目の走行でエンジン不調が発生。3本目の走行はキャンセルして、急きょ対策に入った。
1回戦得点順位
順位
NO.
ドライバー
得点
車速(km/h)
順位
NO.
ドライバー
得点
車速(km/h)
1
4
手塚 強
100.00
167
17
13
日比野哲也
99.85
155
2
12
古口美範
100.00
167
18
22
平岡英郎
99.85
155
3
1
斎藤太吾
100.00
167
19
15
高橋邦明
99.85
154
4
7
川畑真人
100.00
165
20
21
荻野目久
99.85
152
5
3
野村 謙
100.00
160
21
37
藤尾 勉
99.80
164
6
2
今村陽一
100.00
158
22
29
福田浩司
99.80
161
7
17
佐久間達也
100.00
152
23
24
時田雅義
99.80
160
8
16
岡村和義
99.95
165
24
23
野沢巧
99.80
157
9
8
熊久保信重
99.90
163
25
30
松川和也
99.70
157
10
5
末永正雄
99.90
156
26
10
田中一弘
99.70
155
11
26
ドリフト侍
99.87
154
27
18
内海彰乃
99.50
158
12
6
上野高広
99.86
169
28
40
藤中学
99.50
151
13
25
猪瀬 徹
99.85
169
29
46
松田豊久
98.00
161
14
28
横井昌志
99.85
161
30
20
水畑 力
98.00
159
15
38
長澤淳吉
99.85
160
31
9
吉岡稔記
リタイア
16
11
黒井敦史
99.85
157
▲以上単走1回戦通過▲


 単走1回戦の得点では黒井が16位に入っていたが、マシントラブルで出走できなくなったため、代わりに17位の日比野が繰り上がって追走に出走するという異例の措置がとられた。斎藤が単走1回戦で100点を取った時点で手塚のチャンピオン獲得は消えたため、タイトル争いは斎藤、今村、野村の3人に絞られて追走トーナメントが始まった。
  手塚と日比野の対戦は、300Rで手塚に突然のクルマに不調が起こり、ドリフトが戻ってしまって日比野の勝利。つづく岡村vs熊久保はウォームアップ走行で岡村のマシンがタービンブローを起こしたため、熊久保となった。
  負けるとチャンピオンの可能性がなくなる野村は上野と対戦。しかし2本とも上野の走りが上まわって野村はシリーズ争いから脱落した。
  川畑vs猪瀬も、猪瀬のマシンがエンジントラブルでリタイヤ。川畑の勝ちとなった。単走1回戦でのエンジン不調にいちおうの対処をした斎藤は横井と対戦。先行では角度と迫力で上まわり、後追いでもきっちり横井についていってベスト8進出を果たす。この結果、負けが許されなくなった今村はドリフト侍と対戦。勝負は再戦にもつれこんだが、そこでドリフト侍のマシンに駆動系トラブルが発生。今村の勝ちとなった。これによって、ベスト8で斎藤と今村が直接対決することになった。
  佐久間vs末永はスピードで上まわった末永が勝利。古口vs長澤は長澤が先行時にコースアウトして古口の勝ちとなった。
  ベスト8の最初の対戦では2本目の走行で日比野のプロペラシャフトが破損して熊久保の勝利。上野vs川畑は、川畑がビタビタ走行で上野に勝ち、上野のソアラはD1での最後の戦いを終えた。
  そしてシリーズを決する大一番、斉藤vs今村の対戦となった。1本目は斎藤が先行。パワーで上まわる斎藤は300Rの角度で今村をしのぎ、その先でも今村に距離を詰めさせない。ヘアピンではやや小さめのラインになってしまったがそれでもアドバンテージを獲得した。2本目は今村が先行。斎藤は今村のすぐ後ろにビタビタにつけ、ヘアピンの前半で詰まりぎみになってしまう。一瞬、コースのイン側に入っていきそうになった斎藤だが、なんとかラインを修正。ドリフトをなんとか維持しながら、今村にドリフトを合わせてヘアピンを立ち上がって見せた。この瞬間、D1グランプリ第8代チャンピオンが斎藤太吾に決まった。
  末永vs古口の対戦は再戦に突入したが、1本目には後追いの古口が300Rでアウトに流され、2本目は末永が古口との距離を詰めて末永が勝った。


 準決勝の最初の対戦は熊久保vs川畑。ちょうど1年前にここ富士でチャンピオン争いの死闘を演じた強豪ドライバー同士だ。また両者ともベスト16は不戦勝で勝ち上がり、熊久保にいたってはベスト8でも相手のリタイヤで勝ってきたため、こんどこそいい追走を見せてお客さんを沸かせたいという意識が強かった。
  1本目は熊久保が先行。来るなら来いとインを開けて走る熊久保に対し、川畑は300Rから熊久保と同等の角度でビタビタにつけ、ヘアピンに向かう進入でも熊久保とほぼ同時に振り返して寄せていく。しかし、距離を詰めすぎたところで止めきれず接触。完全に熊久保をプッシュする形になってしまった。熊久保は押し出されながら川畑から逃げるような形でコースアウト。大きく熊久保にアドバンテージがついた。2本目は川畑が先行。川畑もすぐに開き直って単走でいえば120点級の走りを披露。しかし熊久保もノーミスだったため逆転はできず、熊久保の2戦連続での決勝進出が決まった。
  準決勝のもうひとつの対戦はチャンピオンを決めた斎藤と末永の対戦。パワーで上まわる斎藤は、300Rまでにやや末永を引き離し、300Rの振り出し、角度でも末永を上まわる。末永はRX-7の強みであるコーナリング性能を生かして、ヘアピンの飛び込みでは斎藤との距離を詰めるが、立ち上がりではまた少し離されてしまう。アドバンテージは斎藤についた。ところが、1本目の走行後に斎藤のマシンがエンジンブロー。じつは単走で出ていた症状が解決はされておらず、無理をして走っていたのがとうとう致命的なダメージになってしまったのだった。これによって2本目はリタイヤ。末永が決勝に勝ち上がった。
  決勝の1本目は熊久保が先行。末永はまず300Rの角度で熊久保を上まわる。ヘアピンでは熊久保がやはりスペースをあけて走り、そこに末永が寄せた。わずかに末永にアドバンテージがつく。2本目は末永が先行。大きく角度をつけて300Rを回る末永に対し、熊久保はそこまで角度をつけられない。熊久保はヘアピンの前半で末永との距離を詰め、見事な接近ドリフトを見せるが、後半はまた末永にやや離されてしまう。判定は五分。1本目のアドバンテージがものをいって、末永の優勝が決まった。
  このラウンドの結果、2008年は全ラウンドで勝者がちがうシーズンとなった。混戦を象徴するような結果でシリーズは幕を下ろした。
※上位入賞選手の大会後のコメントは、
D1ケータイサイトでご覧になれます。
順位
順位
NO.
ドライバー マシン名
1位
5
末永正雄 トラスト雨宮 with TOYO D1-7
2位
8
熊久保信重 YUKE'Sクスコ チームオレンジ ランサー with ORC
3位
7
川畑真人 TEAM TOYO with GP SPORTS 180SX
4位
1
斎藤太吾 チーム22 FNATZ マークII
5位
12
古口美範 DUNLOP 180SX
6位
2
今村陽一 BOSSシルビア
7位
6
上野高広 TE3006スイーバソアラ
8位
13
日比野哲也 サンライズアイオン86
9位
26
ドリフト侍 チーム侍プロジェクト FC3S1号
10位
4
手塚 強 グッドイヤーレーシングB324R
11位
3
野村 謙 BLITZ DUNLOP ER34
12位
17
佐久間達也 TEAM TOYO with GP SPORTS S15
13位
28
横井昌志 MCR S14
14位
38
長澤淳吉 PROGRESS-S15
15位
16
岡村和義 ニスモ&HKS YF偉人号
16位
25
猪瀬 徹 FRIENDS 谷田部アリーナ S15
ポイントランキング
順位
ドライバー チーム名
ポイント
1位
斎藤太吾 チーム22
114
2位
今村陽一 Team BOSS with POTENZA D-1 Project
104
3位
末永正雄 トラスト雨宮 with TOYO
89
4位
野村 謙 BLITZ
87
5位
手塚 強 グッドイヤーレーシングB324R with Bee☆R
80
6位
川畑真人 TEAM TOYO with GP SPORTS
78
7位
熊久保信重 YUKE'Sチームオレンジ
74
8位
上野高広 TEAM T&E with SUI:VAX
72
9位
吉岡稔記 ドルーピー
52
10位
田中一弘 YUKE'Sチームオレンジ
51
NO.
ドライバー 車名 車両型式
馬力
タイヤ
成績
1
斉藤太吾 マークII JZX100
800
BS
4位
2
今村陽一 シルビア S15
579
BS
6位
3
野村 謙 スカイライン ER34
580
DL
11位
4
手塚 強 スカイラインGT-R BNR32
544
GY
10位
5
末永正雄 RX-7 FD3S
500
TY
1位
6
上野高広 ソアラ JZZ30
550
YH
7位
7
川畑真人 180SX RPS13
580
TY
3位
8
熊久保信重 ランサー・エボリューションIX CT9A
550
YH
2位
9
吉岡稔記 SC430 UZZ40
600
YH
1回戦敗退
10
田中一弘 インプレッサ GDB
600
YH
1回戦敗退
11
黒井敦史 シルビア PS13
600
TY
1回戦敗退
12
古口美範 180SX RPS13
530
DL
5位
13
日比野哲也 カローラ・レビン AE86
350
DL
8位
14
廣田友和 ヴェロッサ JZX110
620
YH
予選不通過
15
高橋邦明 チェイサー JZX100
530
GY
1回戦敗退
16
岡村和義 シルビア S15
600
YH
15位
17
佐久間達也 シルビア S15
580
TY
12位
18
内海彰乃 シルビア PS13
510
YH
1回戦敗退
19
中村直樹 シルビア S15
400
DL
予選不通過
20
水畑 力 シルビア S15
540
YH
1回戦敗退
21
荻野目久 シルビア S15
500
TY
1回戦敗退
22
平岡英郎 インプレッサ GDB
560
BS
1回戦敗退
23
野沢巧 シルビア S14
430
BS
1回戦敗退
24
時田雅義 クラウン GRS180
700
GY
1回戦敗退
25
猪瀬 徹 シルビア S15
600
DL
16位
26
ドリフト侍 RX-7 FC3S
600
TY
9位
27
一柳和人 シルビア PS13
500
DL
予選不通過
28
横井昌志 シルビア S14
500
DL/FR
13位
29
福田浩司 180SX RPS13
480
BS
1回戦敗退
30
松川和也 シルビア S15
480
BS
1回戦敗退
31
前田 謙 スプリンター・トレノ AE86
415
BS
予選不通過
32
松井有紀夫 180SX RPS13
450
YH
リタイア
33
末永直登 インプレッサ GC8
500
YH
予選不通過
34
小師賢作 スプリンター・トレノ AE86
340
GY
予選不通過
35
田所義文 スプリンター・トレノ AE86
300
YH
予選不通過
36
高山健司 RX-7 FD3S
522
YH
予選不通過
37
藤尾 勉 RX-7 FD3S
450
YH
1回戦敗退
38
長澤淳吉 シルビア S15
480
YH
14位
39
村山悌啓 シルビア S14
480
GY
予選不通過
40
藤中学 RX-7 FD3S
600
YH
1回戦敗退
41
小畑仁宏 カローラ・レビン AE86
350
YH
予選不通過
42
春山 隆 ローレル C35
550
GY
予選不通過
43
出浦史郎 シルビア S14
500
BS
予選不通過
44
匂坂晋治 カローラ・レビン AE86
300
GY
予選不通過
45
地主亮治 ソアラ JZZ30
740
YH
予選不通過
46
松田豊久 カローラ・レビン AE86
300
GY
1回戦敗退
47
林渡 シルビア S15
430
DL
予選不通過
48
平野浩量 シルビア S15
420
YH
予選不通過
49
加藤貴也 シルビア S14
500
DL
予選不通過
50
高橋雄一郎 マークII JZX100
800
BS
予選不通過
51
児玉泰宗 180SX RPS13
500
TY
予選不通過
52
伊藤昭紀 シルビア PS13
500
BS
予選不通過
53
中田哲郎 チェイサー JZX100
450
YH/FD
予選不通過
54
中村孝之 180SX RPS13
430
BS/GY
リタイア
55
村田郁雄 シルビア S14
480
TY
リタイア
56
小山 哲 フェアレディZ Z32
550
YH
予選不通過
57
大嶋友浩 ソアラ GZ20
450
YH
リタイア

この大会の模様は
「VIDEO OPTION VOLUME No.177」
に収録予定です。

BACK