この大会の模様は
「VIDEO OPTION VOLUME No.174」
に収録予定です。


■8月2、3日 オートポリス
■コースコンディション:ドライ
■観衆:10300人

PHOTO:上尾雅英/鈴木紳平
REPORT:斉藤精一郎

 1ヶ月以上のブランクのあと、大分のオートポリスでD1GPの第5戦が開催された。開催期間中はおおむね好天に恵まれた。オートポリスは高原にあるため、真夏とはいえモータースポーツ観戦にも適したさわやかな気候のなかでシリーズ屈指の高速バトルが繰り広げられた。
  今回の大会では、予選日の午後にもピットウォークが行われたほか、タイヤメーカー対抗のラーメン早食い大会や上位選手のトークショーなど、競技以外でも充実したファンサービスが企画された。
  なお、前回の第4戦岡山で単走の審査方法に変更がなされたが、それがまた今回手直しされた。スピードガンによる車速の計測が採点に反映されないのは相変わらずだが、得点が同点だった場合の順位づけは、車速で行うように戻されたのだ。これは、やはりスピードもドリフトの持ち味のひとつだから、あるていど考慮しようという狙いで、選手もこの提案に賛同し、予選からこの方法が採用された。ただし車速はストレートスピードではなく、ドリフト体勢に入ってから1コーナーに飛び込んでいく部分で計測された。

 予選にはシード選手をのぞく37名がエントリー。そのなかには、D1初のレクサスIS350をひっさげて3年ぶりに参戦してきた織戸学もいた。しかし、織戸のマシンはいきなりエンジントラブルが発覚し、けっきょく出走することなくリタイヤ。IS350がドリフトする姿も見ることはできなかった。
  審査コーナーはこれまでと同様。ファイナルコーナーを逆走で使用し、ストレートを加速してきたところから、ファイナルコーナーに飛び込み、アウトいっぱいまではらんで立ち上がっていくところまでだ。D1では、最初の右コーナーを1コーナー、振りっ返したあとを2コーナーと呼ぶ。
  審査において要求されるラインは下の図のとおり。そのなかで、より角度と(見た目の)スピードが高いほうが高い評価を得る。また、振り返したあとはアクセルコントロールなしにアクセルを踏み切って走り抜けることが要求された。副審はストレートエンドに配置され、指定された位置を過ぎてからテールを振り出したり、1コーナーまでに減速しすぎていると減点されることになった。逆に、振り出しで一気に大きな角度をつけ、1コーナーに向けてアクセルを踏んで入っていければ、ファンタスティック旗が出ることが発表された。
  また、スピードガンは図の位置のほかにストレートの正面にも設置され、参考値として計測された(審査には関係ない)。
  やはりランキングの上位選手が多く予選を通過する順当な結果になった。そのなかでオートポリスを得意とする猪瀬は、ものすごい車速から迫力ある振り出しを見せて、ラインもきっちりまとめ、昨年につづいて予選をトップ通過した。いっぽうで、大きなミスはなかったものの、迫力に欠けた内海や、細かいミスが出てしまった岡村が予選不通過。時田も予選は通過できなかったが、今季から始まった現行車種優遇制度によって1回戦を走れることになった。

オートポリス
単走主要審査ポイント
※スピードガンの計測値は同点の場合の順位づけのみに使用
予選順位表
順位
NO.
ドライバー
得点
車速(km/h)
順位
NO.
ドライバー
得点
車速(km/h)
1
38
猪瀬 徹
100.00
159
21
37
箕輪慎治
99.00
139
2
15
熊久保信重
99.95
139
22
41
末永直登
99.00
138
3
12
日比野哲也
99.90
151
23
27
長澤淳吉
98.80
147
4
33
藤尾 勉
99.90
150
24
14
内海彰乃
98.80
145
5
13
廣田友和
99.90
145
25
17
岡村和義
98.80
143
6
22
平岡英郎
99.85
154
26
21
時田雅義
98.80
130
7
11
田中一弘
99.85
142
27
36
前田 謙
98.50
152
8
20
佐久間達也
99.85
141
28
43
松川真二
98.50
147
9
18
高橋邦明
99.80
144
29
31
小畑仁宏
98.50
143
10
34
田所義文
99.50
162
30
30
藤中学
98.50
136
11
39
高山健司
99.50
156
31
44
平野浩量
98.00
140
12
28
小師賢作
99.50
144
32
45
平島昭彦
98.00
138
13
23
一柳和人
99.50
144
33
40
匂坂晋治
50.00
141
14
29
松川和也
99.50
142
34
35
横井昌志
リタイア
15
25
中村直樹
99.50
137
35
42
林渡
リタイア
16
19
荻野目久
99.50
135
36
46
村田郁雄
リタイア
17
26
ドリフト侍
99.00
149
37
47
織戸学
リタイア
18
24
福田浩司
99.00
145
19
16
水畑 力
99.00
144
20
32
野沢巧
99.00
140
▲以上予選通過▲


 単走1回戦には、シード選手10名に予選通過選手20名、さらに時田を加えた計30名が出走した。審査基準は前日の予選とほぼ同様だったが、全体的な車速が上がってきたため、振り返し後のアクセルコントロールも減点とはならないことが発表された。
  シード選手が登場すると、走りの様相は一変した。去年までならまぐれでしか出なかったような“ほぼスピン状態”の角度を、彼らはあたりまえのように連発しだしたのだ。ほとんどの選手がサイド進入だったが、浅い角度ながら長い飛距離を出す猪瀬や時田、飛距離はそうでもないが一気に大きな角度をつける斉藤、川畑、末永(正)、黒井、そして角度と飛距離を両立させた今村など、選手によってスタイルはわかれた。そのなかでも大きな特徴としては、角度派の選手たちが、これまでの常識をくつがえすような角度を見せながらも高い車速のドリフトを見せていたことだった。これはD1選手たちのドリフトがまた新しい次元に入ったことを感じさせた。
  川畑、黒井、末永、斉藤、手塚、今村の6人が100点を獲得。黒井は100点獲得後の3本目に、90度を超えているのではないかという進入を見せ、またも「黒井イリュージョンか!?」と思わせたが、振り返し後にスピンをしたため、その走行の得点はつかなかった。
  前戦では十分な戦闘力を発揮できなかった吉岡のSC430もすっかりシードレベルの走りを見せるようになり、シード選手10名が全員追走トーナメントに進出するという展開になった。ただ、いつもなら単走を得意としている野村の走りに元気がなく、15位で通過するという意外な側面もあった。いっぽうで上位選手では、日比野や水畑が、1コーナーでクリップを外したり、減速しすぎるなど、どこかでミスをしてしまって1回戦敗退となった。
1回戦得点順位
順位
NO.
ドライバー
得点
車速(km/h)
順位
NO.
ドライバー
得点
車速(km/h)
1
9
川畑真人
100.00
158
17
13
廣田友和
99.70
156
2
10
黒井敦史
100.00
156
18
23
一柳和人
99.70
146
3
5
末永正雄
100.00
151
19
16
水畑 力
99.70
138
4
1
斉藤太吾
100.00
149
20
21
時田雅義
99.70
133
5
4
手塚 強
100.00
149
21
19
荻野目久
99.70
130
6
3
今村陽一
100.00
140
22
12
日比野哲也
99.50
146
7
38
猪瀬 徹
99.90
149
23
28
小師賢作
99.50
142
8
15
熊久保信重
99.90
148
24
20
佐久間達也
99.50
135
9
26
ドリフト侍
99.90
147
25
25
中村直樹
99.50
128
10
11
田中一弘
99.90
144
26
34
田所義文
99.00
156
11
6
吉岡稔記
99.90
143
27
24
福田浩司
99.00
148
12
18
高橋邦明
99.90
140
28
39
高山健司
99.00
148
13
7
上野高広
99.85
145
29
29
松川和也
98.50
139
14
8
古口美範
99.85
139
30
33
藤尾 勉
95.00
151
15
2
野村 謙
99.80
151
31
32
野沢 巧
90.00
144
16
22
平岡英郎
99.80
146
▲以上1回戦通過▲


 追走トーナメント最初の対戦は単走トップ通過の川畑と、お台場でのクラッシュからクルマを修復してきた平岡。1本目に角度で上まわった川畑は、2本めにも後追いからぴったりついていって勝った。熊久保vsドリフト侍は、1本目にドリフト侍が2コーナーで流されたのが決め手となって熊久保が勝ち上がった。
  グッドイヤー対決となった手塚vs高橋は2本目に後追いの手塚が飛び込みで姿勢を乱し、その先でもラインを外して高橋に大きく遅れをとってしまい、高橋の逆転勝ちとなった。
  斉藤vs上野は1本目に角度で上まわった斉藤が勝利。末永vs古口は、古口がスピンをして末永の勝ちとなった。ここで末永は古口を避けるためにクラッシュしたが、ダメージは外装のみで次の走行は可能だった。今村vs吉岡は1本めに後追いの吉岡が1コーナーで流され、今村が引き離して勝ち。猪瀬vs田中は、1本目に猪瀬がスピン。2本目にも猪瀬にミスが出て田中の勝ちとなった。黒井vs野村という大御所対決は、両者持ち味を発揮して再戦に突入。しかしその2本目に、振り返しからのスピードで野村が勝り、野村がベスト8に進出した。
  ベスト8ではまず川畑と熊久保が対戦。2006年と2007年のチャンピオンの対決とあって好勝負が期待されたが、ウォームアップ走行で熊久保のエンジンが吹けなくなるトラブルが発生。その場では直すことができず、リタイヤとなってしまった。次の対戦は高橋vs斉藤。じつはJZX100型ツアラーVを駆る新旧エースの対決で、ベテラン高橋が巻き返すかどうかが注目された。しかし、今回は若い斉藤の勢いが勝り、2本とも斉藤がスピードで上まわって4戦連続での準決勝進出を果たした。
  末永vs今村は、末永が先行時には今村が同時に振り出してインを差し、今村の先行時には末永が振り返しで離されて、今村の勝利。田中vs野村も五分の展開で再戦に突入したが、しだいに走りが元気になってきた野村が、後追いのときに田中と同時に振り出し、角度でも上まわって勝った。
  手塚と末永は早期敗退によってポイントランキングでやや後退し、チャンピオン争いでは苦しい立場になってきた。


 準決勝最初の対戦は川畑vs斉藤。川畑は過去3戦180SXで力を出し切れずにいたが、このマシンの走らせかたにも慣れ、セッティングも進んできたため、以前のシルビアと同じくらい自在に扱えるようになってきていた。1本目先行は川畑だった。川畑は好調の斉藤と戦うにあたって、単走でも出していないほどの、自分の120%ともいえる走りで斉藤に挑んだ。川畑もものすごい振り出しの角度を見せたが、後追いの斉藤も同等の角度で川畑に対抗。そして振り返し後には見事に川畑のインに入ってみせた。2本目は川畑も斉藤のインを狙ったが、振り出しの角度では斉藤が上まわり、振り返し後も川畑は斉藤のインを差すところまでは詰め寄れず、斉藤の勝ちとなった。
  準決勝もうひとつの対戦は今村vs野村。1本目は今村が先行だ。振り出しの角度では今村が上まわる。しかし2コーナーから先では野村が距離を詰める。評価はほぼ互角だ。2本目は野村が先行。今村は野村と同時にテールを振り出すが、2コーナーに向けて振り返すポイントで野村に接近しすぎ、野村のテールにはじかれてコースアウトしてしまう。それによって野村の勝ちとなった。
  決勝は斉藤vs野村。どちらが勝っても今季は初優勝だ。1本目は斉藤が先行。800psという圧倒的な大パワーを誇る斉藤は、ストレートの後半で野村を引き離す。振り出しの角度はわずかに斉藤が上まわる。野村は得意の振り返しから斉藤のインをねらうが、やや角度が浅くなりながらも距離を詰めることができない。評価はほぼ互角でわずかに斉藤にアドバンテージがついた。2本目は野村が先行。斉藤は2コーナーに向けて、少し早めのタイミングで切り返し、ややインめのラインにのって野村の真横に並びかけ、立ち上がりでは抜き去ってしまう。しかし、斉藤も角度が浅くはなっていなかったので、斉藤の勝ちとなり、斉藤が決勝進出2回目にして初優勝を飾った。
  昨年までは追走に入るとまるでダメだった斉藤だが、今季は大化けした。完全にD1のトップドライバーの仲間入りを果たしただけでなく、残りのラウンドでは手が付けられないほどの強さを発揮しそうな気配がある。
※上位入賞選手の大会後のコメントは、
D1ケータイサイトでご覧になれます。
http://www.msf.ne.jp/homepage/d1gp.htm
順位
順位
NO.
ドライバー マシン名
1位
1
斉藤太吾 チーム22 FNATZ マークII
2位
2
野村 謙 BLITZ DUNLOP ER34
3位
9
川畑真人 TEAM TOYO with GP SPORTS 180SX
4位
3
今村陽一 BOSSシルビア
5位
11
田中一弘 YUKE'S シムスインプレッサGDB
6位
5
末永正雄 トラスト雨宮 with TOYO D1-7
7位
18
高橋邦明 GOOD YEAR Racingwith Do-Luck
8位
15
熊久保信重 YUKE'Sクスコ チームオレンジ ランサー with ORC
9位
10
黒井敦史 TEAM TOYO with リバーサイド
10位
4
手塚 強 グッドイヤーレーシングB324R
11位
38
猪瀬 徹 FRIENDS 谷田部アリーナ S15
12位
26
ドリフト侍 チーム侍プロジェクト FC3S 1号
13位
7
上野高広 TE3006スイーバソアラ
14位
6
吉岡稔記 ヨコハマトムス SC50 with 宮本
15位
22
平岡英郎 YUKE’SチームオレンジGDB
16位
8
古口美範 DUNLOP 180SX
ポイントランキング
順位
ドライバー チーム名
ポイント
1位
斉藤太吾 チーム22
85
2位
野村 謙 BLITZ
78
3位
今村陽一 Team BOSS with POTENZA D-1 Project
70
4位
末永正雄 トラスト雨宮 with TOYO
64
5位
手塚 強 グッドイヤーレーシングB324R with Bee☆R
60
6位
川畑真人 TEAM TOYO with GP SPORTS
54
7位
田中一弘 YUKE'Sチームオレンジ
47
8位
黒井敦史 Team TOYO with リバーサイド
44
9位
上野高広 TEAM T&E with SUI:VAX
43
10位
吉岡稔記 ドルーピー
42
NO.
ドライバー 車名 車両型式
馬力
タイヤ
成績
1
斉藤太吾 マークII JZX100
800
BS
1位
2
野村 謙 スカイライン ER34
580
DL
2位
3
今村陽一 シルビア S15
579
BS
4位
4
手塚 強 スカイラインGT-R BNR32
544
GY
10位
5
末永正雄 RX-7 FD3S
500
TY
6位
6
吉岡稔記 SC430 UZZ40
600
YH
14位
7
上野高広 ソアラ JZZ30
690
YH
13位
8
古口美範 180SX RPS13
530
DP
16位
9
川畑真人 180SX RPS13
580
TY
3位
10
黒井敦史 シルビア PS13
600
TY
9位
11
田中一弘 インプレッサ GDB
600
YH
5位
12
日比野哲也 カローラ・レビン AE86
350
DL
1回戦敗退
13
廣田友和 ヴェロッサ JZX110
620
YH
1回戦敗退
14
内海彰乃 シルビア PS13
510
YH
予選不通過
15
熊久保信重 ランサー・エボリューションIX CT9A
550
YH
8位
16
水畑 力 シルビア S15
624
YH
1回戦敗退
17
岡村和義 シルビア S13
600
YH
予選不通過
18
高橋邦明 チェイサー JZX100
530
GY
7位
19
荻野目久 シルビア S15
500
TY
1回戦敗退
20
佐久間達也 シルビア S15
580
TY
1回戦敗退
21
時田雅義 クラウン GRS180
700
GY
予選不通過
22
平岡英郎 インプレッサ GDB
560
BS
15位
23
一柳和人 シルビア S13
500
DL
1回戦敗退
24
福田浩司 180SX RPS13
500
BS
1回戦敗退
25
中村直樹 シルビア S15
400
DL
1回戦敗退
26
ドリフト侍 RX-7 FC3S
600
TY
12位
27
長澤淳吉 シルビア S15
480
YH
予選不通過
28
小師賢作 スプリンター・トレノ AE86
340
GY
1回戦敗退
29
松川和也 シルビア S15
480
BS
1回戦敗退
30
藤中 学 RX-7 FD3S
600
YH
予選不通過
31
小畑仁宏 カローラ・レビン AE86
350
YH
予選不通過
32
野沢 巧 シルビア S14
500
BS
1回戦敗退
33
藤尾 勉 RX-7 FD3S
450
YH
1回戦敗退
34
田所義文 スプリンター・トレノ AE86
300
YH
1回戦敗退
35
横井昌志 シルビア S14
500
YH/FR
リタイア
36
前田 謙 スプリンター・トレノ AE86
415
BS
予選不通過
37
箕輪慎治 シルビア S15
440
TY
予選不通過
38
猪瀬 徹 シルビア S15
600
DL
11位
39
高山健司 RX-7 FD3S
580
YH
1回戦敗退
40
匂坂晋治 カローラ・レビン AE86
300
GY
予選不通過
41
末永直登 インプレッサ GC8
500
YH
予選不通過
42
林 渡 シルビア S15
430
DL
リタイア
43
松川真二 シルビア S15
450
YH
予選不通過
44
平野浩量 シルビア S15
420
YH
予選不通過
45
平島昭彦 シルビア S13
400
YH
予選不通過
46
村田郁雄 シルビア S14
480
TY
リタイア
47
織戸 学 IS350 GSE21
YH
リタイア

この大会の模様は
「VIDEO OPTION VOLUME No.174」
に収録予定です。

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